脱原発!地域から再生可能エネルギーを推進するために②

2、鈴廣かまぼこ ゼロ・ネット・エネルギー・ビルについて

 いよいよ社屋見学!

鈴廣かまぼこの新社屋は、省エネ、創エネで同じサイズのビルの半分以下のエネルギーしか使っていません。経産省の「ゼロ・ネット・エネルギー・ビル(ZEB)」認定も受けています。建設費12~13億円のうち省エネ、創エネに関する費用は約1億円。エネルギーの削減率は50~60%。設備費用1億円は約10年で回収可能とのこと。建築費用、設備費用に糸目をつけない大手の建築会社のZEBとは一味も二味も違います。このZEB、知ってはいましたが実際に見たことはなかったのでとても参考になりました。

まず、新社屋に入ったときに木材が多く使われていてとてもすがすがしい感じがしました。内装には地元産のひの木をふんだんに使っていますが、壁の内部は分厚い断熱がされていて、窓もペアガラスという高断熱の作りになっていました。また、自然の換気をすることはほとんどないそうで、高機密を保っていました。

<空調>

空調のコントロールは温度と湿度の2種類。同じ温度でも湿度が違えば体感温度が変わるそうです。コントローラーが設置されている壁は全面ホワイトボードとして使えるそうです。

高機密・高断熱でもすがすがしい訳は空調にありました。空調は井戸水を使ったヒートポンプシステムで、湿度を調節するデシカント空調を採用し、乾燥しているときは空気を循環させるフィルターに井戸水を利用しているとのこと、ほこりやウィルスもある程度は除去できるそうです。ぜんそくやアトピーには嬉しいシステムだなと思いました。
3階のオフィスには床に空調用の吹きだし口があり、そこから温風が出ていました。高断熱高機密なので、冬は翌日の朝でも外気より10度位高い室温をキープしているそうです。

 

 

 

<照明>

太陽光を反射により室内に取り入れる太陽光照明。紫外線も熱もカットされているそうです。センサーが照度を感知し必要に応じてLEDを点灯させます。

太陽光発電があり、自家消費しています。太陽光を効果的に取り入れる太陽光照明が取り付けられ、室内の照度を一定に保つためセンサーが付いており、曇ったり日が暮れて太陽光が弱まるとその分LED照明が強まる仕組みになっています。自動で行うので手間はかからないそうです。

また、繁忙期を除き、基本的に18時頃には空調が止まり、18時30分頃には消灯になるそうです。自然の流れに逆らわない働き方を見習いたいと思います。ワークライフバランスや働き方改革へのアプローチは再生可能エネルギーからの切り口も考えられるなと思いました。

<熱源1>~併設の団体食堂で~

太陽熱で温水を作り、厨房の食洗機で使用しています。従前のガスでお湯を沸かすのに比べて20%の省エネを実現。並べて設置された同じ大きさの太陽光発電パネルとの比較では、3.5倍の効率が良いそうです。
レストランだけでなく、高齢者や福祉施設での利用が効果的だと思いました。また私たちの家庭でも充分利用できるものです。
一般の家庭での全消費エネルギーのうち、35%ほどが給湯に使われ、17%ほどが暖房に使われているそうです。東京都ではソーラー屋根台帳を公開しており、自宅の屋根が太陽光発電に向いているか、太陽熱利用に向いているか、知ることができます。このこともしっかり広めていきたいなと思いました。小平市では家庭の太陽熱の利用には補助金が出ないのでこちらにも引き続き働きかけます。

<熱源2>~併設のレストランで~

地中熱を利用した空調システム。

一年を通じてほぼ一定の温度を保つ、地下水と地中熱を利用した空調システムを取り入れ、年間の電力使用量の20%削減を実現しているそうです。冷房の場合外気温31度のときに地中熱の利用で3~4℃下がった空気をさらに地下水との熱交換で7~8℃下げ、外気温より10℃以上下がった状態でエアコンに送り込む仕組みを利用しています。

2つの熱利用で、地中熱より地下水のポテンシャルが高いことがわかったとのお話でした。地中熱の方は夏に暑い日が続くと取り込んだ空気温度が下がらなくなるそうです。

 

 

小田原市のほうとくエネルギーがメガソーラーを設置しているのは不燃物の最終処分場の埋め立て地とのこと。小平市にはそんな広い土地はないけれど、家の屋根はたくさんあります。小田原市には地下水の揚水制限がないし農地は生産緑地ではありません。いろいろ条件は違いますが、小平には「地域エネルギービジョン」があるし「太陽光発電日本一」を目指しています。

一般質問で新しい公共施設をZEBにすることへの見解を聞きました。市の答弁として、検討する際に俎上に上げていくとのことでした。

鈴廣かまぼこ本社にて代理人4人で。

小平市の中で電気や熱のエネルギーがつくられ、利用し、設置やメンテナンスに地域の事業所が関わる。遠い国の誰かが儲かるのではなくまた投機の対象になることもなく、地域の中でエネルギーも経済もまわっていく、しかも暗くなったら仕事は終わりにして家に帰る・・小田原市のエネルギーの取り組み、鈴廣かまぼこのシステムを参考にして、できることから実現していきたいと思います。