会派視察報告①~環境でまちを再生・・・水俣市

水俣駅を降りると目の前にチッソの工場がありました

水俣市「環境モデル都市」の視察に行ってきました。
水俣市は人口約26000人、面積162.88㎢。経済成長の裏側で有機水銀を含む工場排水により、環境破壊、健康被害、差別や偏見が生まれ、1956年水俣病が公式認定されました。現在でも被害に苦しむ方があるなか、1992年に日本初の「環境モデル都市づくり宣言」を行いました。環境の破壊を受け世界的に有名な負の個性「水俣病」をバネに、被害者である自分たちが加害者になることがないようにと環境でまちを再生する取り組みです。
「環境」のなかでまず取り組んだのは、水、ごみ、食べ物に気をつける=すべての生命(人間だけでなく)を大切にすることに繋がるからだそうです。

 水・・・川、海、山生態系の保全として田畑に撒く農薬が最小限の散布になるよう最大限の注意を払うことや、地区環境制度を立ち上げ地区内で環境の取り組みを始めました。この取り組みではごみの不法投棄をなくす、川や山、水源の保全などを行っています。

ごみの分別表。市が収集する21種類のほかに、クリーンセンターに持ち込むもの、業者に収集してもらうものなどがあります

 ごみ・・・工場からの廃棄物により環境が汚染された経験から特に意識を高く持ち、ごみの高度分別(21分別。生ごみは生分解する指定の袋に入れます!)・リサイクルの徹底、省エネ・省資源を市民と協働で行っています。
食べ物・・原料、生産加工、販売、廃棄物のどの工程においても環境や健康にこだわったものづくりをする職人として市が認定する環境マイスター制度を確立し、お茶、みかん、野菜、米、紙すき、畳、木製建具などを作っています。真に安心安全な水俣ブランドです。私たちの視察を迎えてくださった水俣市議長も無農薬で甘夏を作っておられるそうです。
汚染された海は埋め立てられ、環境の復元は進んできていましたが、工場に努めていた人、被害を受けた人がまじって暮らしており、水俣病の話はタブーの状態が続いています。なんとか対話で相互理解ができるように、「もやい直し」の取り組みが進んでいます。

市役所の中の案内表示板

環境と経済の調和を目指し、資源を循環させる各種リサイクル施設の建設、バイオマスの活用を行っています。ほかにも自然エネルギーの活用、自転車を活用して環境に優しい交通体系づくりなどの取り組みも行っています。
これまでの先進的な取り組みにより2011年に「日本の環境首都」の称号を獲得し、水、ごみ、食べ物に加えてCO2の排出を2050年には50%削減する目標を持っています。資料を見ると緻密に計算されていて、実現できる目標だということもわかりました。
今回、視察先に水俣を選んだのは、「食べて支える」として長年水俣の甘夏を生協の共同購入で取り組んでいることが大きな理由です。被害者である自分たちが加害者になってはいけない。水俣病という負の個性を「環境モデル都市」になることで再生していく。このことを本気で実践している現在の水俣市。私たちは見習うべきところがたくさんありました。