デジタル化と個人情報保護について~マイナンバーカードに関連して
国のデジタル改革関連法の成立により個人情報保護法が改正されました。デジタル関連法の成立ではデジタル化による自治体ごとのデータの統一化などで事務業務の効率化が図られるメリットも言われてますが、スケジュールがタイトであることやコスト面などでの自治体負担が不安視されています。
個人情報保護法改正を含め関連法一番の目的は統一化によるデータ活用の促進と言われており、市民の福祉向上のためのデジタル技術やデータ活用を否定はしませんが、同時に市民の個人情報を守るしくみは重要であると考えています。個人情報においては、匿名加工をするものの、都道府県や政令指定都市には企業などに求められると提供しなくてはならない義務を課せられています。わたしたちの個人情報を保護するというより経済活動に利用するための法律改定には、心配な点が多くあります。
現在は小平市は匿名加工された個人情報提供の義務はありませんが、将来小平市も対象になることを考えておく必要があります。
23年3月定例会では、スマートフォンに電子証明書を搭載しマイナンバーカードがなくてもコンビニエンスストアなどで印鑑証明書が発行できるよう条例改正する議案が提出され、生活者ネットワークは反対しましたが、賛成多数で可決しました。(賛成:政和会・公明党・フォーラム・一人会派の会から1名・共産党)
生活者ネットワークの反対理由は以下の討論のとおりです。
議案第20号 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例について、生活者ネットワークとして反対の立場で討論します。
本議案は法律の一部改正に伴い、小平市印鑑条例及び、小平市手数料条例の一部を一括して行うものです。
小平市では昨年(2022年)2月からマイナンバーカードを利用して、コンビニエンスストアなどに設置されている多機能端末機から各種証明書を交付するいわゆるコンビニ交付が始まっています。それを今回、スマートフォンに電子証明書を搭載したものを利用して、マイナンバーカードが無くてもスマートフォンで印鑑登録証明書の交付が可能にするための条例改正です。
生活者ネットワークはこれまでも申してきましたが、市民生活を豊かにするためのツールとしてICTの可能性を否定しておりません。しかしながら、現時点での今回の条例改正ではスマートフォンでのコンビニ交付という便利さの反面で、セキュリティーの問題やさまざまな点で公正公平性に欠けることから反対するものです。
審査の中で、マイナンバーカードの申請率が82.5%と言うことが示されました。2021年9月の段階では37.9%との説明がありましたが、このものすごい伸び率は、総額2兆円超といわれる過剰な推進事業の結果だと思います。いっぽうで、2017年度から2021年度までの5年間に、企業や行政機関からマイナンバー情報の紛失や漏洩した件数は少なくとも3万5千人分に上ると、個人情報保護委員会からの年次報告があったとの報道もあります。2022年度の数値は含まれていませんので、市のマイナンバーカード交付率の急激な伸びを見ても、また、企業向けの損害保険として、マイナンバー漏洩に備える情報漏洩補償プランが販売されていることからも相当数の情報の紛失や漏洩があったのではないかと推察されます。
今回はそのような中、スマートフォンに電子証明書を搭載して、コンビニ等の多機能端末機から印鑑証明書の交付ができるようにする条例改正ですが、まず、対応するスマートフォンが、アンドロイド9.0以上のものに限られており、アップルの「ios」には対応しないこと、その理由をアップル社はセキュリティーリスクが高まるため、としているとの報道があります。マイナンバーカードを持たない人は市民の2割弱、スマートフォンを持たない人もおり、手数料を50円割り引く点だけでも公平性に欠けるところ、スマートフォンの中でもアンドロイドしか利用できない状況での事業であり、アップル社がセキュリティーの問題があると述べていることからも、市民の個人情報がしっかり守られるのか懸念が残ります。セキュリティーの問題があり、公平性に欠ける、このような状況での開始には賛成できません。
以上申し述べて生活者ネットワークの反対討論といたします。