昨年12月6日水道法の一部改正案が、8時間の審議で強行採決されました。水道事業の運営権を民間に設定できるという内容が問題になっています。
国は「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道事業の直面する課題に対し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずる」としています。ここで不思議に思うのは人口減少や施設の老朽化は当然想定していなければならないことだし、民間にできることならなぜ公でやらないのかということです。私たちの税金の当然の使いみちとして誰もが納得することだと思います。
気になる都の動き
東京都では水道事業は自治体ごとではなく都として管理しています。水道法改正を受け、小池都知事は記者の問いに対し、事業運営のあり方については、これから外部有識者の意見を聞きながら、様々な手法、調査・研究を行うように水道局に指示している。と発言しています。1月23日東京都水道局が発行した“見える化改革報告書「水道」”では「第三者委員会で外部の視点から東京水道グループ全体の事業運営を検証し、組織のあり方も含め、東京水道グループ全体のコンプライアンスを強化」と記されています。施設の長寿命化や更新の平準化など経営を安定させることは大切ですが、「いのちをつなぐ大切な水は都が責任もって守ります。」と言い切るべきです。
専門職員の技術継承の重要性について
2年ほど前に東日本大震災の現場に学ぼうという講演会で、水戸市水道部の方のお話を聞きました。まずは地震が起こったのが昼間で、職員が勤務中だったのが幸いだったとのことでした。避難所への応急給水はもちろん、浄水場での緊急対応として漏水の状況を見ながら少しずつ水を流したり、配水の加減を水道の専門家として持っている技術を駆使し、かなりアナログなやり方で行ったそうです。市民に大切な水を届けるために責任のある専門職員の技術は、これまで先輩から後輩へと引き継がれていて、この技術の継承が途絶えてしまうのは大変な損失であり、本当に恐ろしいことです。東京都はこの技術の継承を、公の大切な仕事として蓄積・継承していく責任があると思います。
多摩地域の動き
先日三多摩上下水道及び道路建設促進協議会 第一委員会に出席しました。上水道の協議会です。ここでも水道法改正による影響について話題になりました。稲城市の委員(生活者ネット)から今後の協議会で、都の水道法改正による動向を報告してほしいとの提案がなされました。
都知事の発言や水道局の報告書ではどの程度のことを考えて検討をしていくのかわかりませんが、「水道事業は民営化になじまない」との生活者ネットワークとしての見解の通り、私も国や都の動向を注視し、しっかりと意見を言い、最重要なライフラインである水道を守っていきたいと思います。