視察報告
2018年5月16日~18日 厚生委員会で行政視察に行ってきました。
視察先は16日 東大阪市立障害児者支援センター レピラ、17日 豊中市社会福祉協議会、18日 生駒市地域ケア推進課でした。
1日目に訪れた東大阪市は人口約22万人、面積は小平市の約3倍の62㎢です。花園ラグビー場が有名で、もの作りが盛んなまちです。
東大阪市立障害児者支援センター レピラは2017年4月にオープンしました。5階建ての明るく広々とした建物の延べ床面積は8400㎢で(中央公民館の約2倍!)、1階は児童発達支援センター、2階は児童精神科、歯科を含む診療所、3階は機関相談センター、ショートステイや生活介護のスペースがあり、4階には就労移行支援、機能回復訓練のスペース、5階は地域交流スペースがあります。別棟にスロープがついた温水プールも併設されています。
小平にも発達支援センターをと多くの委員が感じているところに、療育の場、診療所、機能回復訓練の場を見せていただき、施設の素晴らしさと支援の充実ぶりに感嘆しました。就労移行支援のところでは面接に向けたセミナーが行われており、10名くらいの方が真剣に受講していたりと参考になるところが満載で、ついつい質問も多く飛び出し予定よりだいぶ長く視察させていただきました。
子どもから大人まで切れ目のない充実した支援が提供されていることや、事業にはレピラのコンセプトである「ここに来れば大丈夫という滞在型の施設ではなく、地域で暮らすことを目的とした施設」の精神がしっかりと生きていて、当事者にも家族にも大切な存在だと思いました。小平にもこのような「場」が必要だと思います。
2日目は、豊中市社会福祉協議会 勝部麗子さんから、コミュニティーソーシャルワーカーの取り組みについてお話を伺いました。豊中市では全41の内36の小学校区に何でも相談室を設置し、専門の相談員(研修を受けた民生・児童委員や福祉委員)が、暮らしの中のSOSをキャッチしています。ボランティアの紹介や情報提供など、解決できるものはその場で解決し、困難なものについては市内に14人(生活圏域ごとに2人)配置されたコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)につなぎます。CSWは複数機関と連携したり、公民協働でのサポートをコーディネートするなど、高度で専門的な知識と技量で問題解決につなげます。制度の狭間で支援の手が届かない人へ地域の住民とともに社会的に包摂しながら支援を展開しています。例としては、ごみ屋敷でサービス拒否の高齢者への支援や若年性アルツハイマーの親を介護する若い介護者の支援など、いわゆる困難ケースと言われるものが多くあげられていました。
また、発達障がいの方やひきこもりの状態の方が一歩を踏み出すためのプログラム「豊中び~の」や農業を通じた介護予防の取り組み「豊中あぐり」も行っています。び~のではパソコン作業や手作り作業、社会貢献などのプログラムがあり、参加すると活動費がもらえます。9月には内職広場を始めるそうです。あぐりではリタイヤした男性が多く活躍し野菜をつくっています。子ども食堂に届けたり、さつまいもを育ててオリジナルの焼酎を作ったりしています。社会福祉協議会の年会費5000円を払った人にはオリジナル焼酎と年2回あぐりの野菜が届くそうです。
暮らしの中の深刻な困難を解決するのはとても大変で、当事者も支援する人も暗くなりがちで、みんなで必死に頑張らなきゃならないとのイメージがありましたが、排除するのではなく包摂する仕組みをしっかり作っていけば、当事者も周りも明るく前向きに対処していけるのだと感じました。何だかとても楽しそうでした。小平での施策の展開に取り入れたいなと思いました。
3日目、生駒市の地域包括ケア推進課 山田明美さんから生駒市での地域包括ケアシステム総合事業についてお話を伺いました。生駒市は人口約12万人。面積は53㎢(小平市の約1.5倍)生駒山地の丘陵地帯にあり、起伏に富んだ地形です。また、茶せんや編み針などの竹製品製造が盛んです。
生駒市の高齢化率は25.8%で、小平市より少し高齢化が進んでいます。生駒市の地域包括システムでは、介護予防・生活支援に特に力を入れていて、要支援1,2の方に対してパワーアップ教室や転倒予防教室、高齢者が支える側にもなれる仕組みを実現するパワーアップ教室プラスを行っています。特にパワーアップ教室プラスでは一度支援を受けて回復された方・頑張る意欲がわいた方が、自分の体験からどんなことに困ったか、どんな言葉で励まされたかを知って支援をする側に回るのが特徴で、参加者は目標を身近に感じ、とても励まされるそうです。
生活支援体制を整えるための地域づくりにも力を入れていて、高齢化率の高い地域の自治会が自ら土曜市を開いたり、買い物支援、喫茶サロンを実施している地域があります。地域包括としてはボランティア講座や市政研修等を開催し、各地域ならでの取り組みが行われるよう、支援しています。
また、普段から高齢者を対象に哲学カフェを開いたり、いこま寿大学では「老い支度講座(終活)」を開催して看取りの部分に力を入れています。自分がどういう最期を迎えたいのか、そのために必要なことは何か、医療と介護の連携はもちろん、介護家族が安心して看取ることができるようにケアマネが定期的に高齢者と家族の意思確認をとっています。
生駒市の取り組みを視察して、介護予防と看取りの充実がとても大切だと再認識しました。頭ではわかっていても実践している例を聞くととても参考になります。小平でも哲学カフェや終活の講座は人気が出るのではと思います。介護予防に努めてなるべく長く元気に過ごし、その人らしく最後が迎えられるような小平にしていきたいです。