会派視察報告③~久留米市 モク・コーポレーション
福岡県久留米市にある(有)モク・コーポレーション小規模多機能型居宅介護 銀の庵・上旗に視察に行ってきました。久留米市は人口約30万人、面積229.96㎢、高齢化率は小平(22.6%)より少し高い率で推移しています。小規模多機能居宅介護は40件あります。市による地域密着型サービスの整備がすすみ、小規模多機能型居宅介護サービス事業所は全国平均の4倍あり、充実しています。
小平や近隣市の小規模多機能居宅の経営状況はあまり良くないと聞いていたので、久留米市では成り立っているのか気になっていました。
モク・コーポレーションは2001年に設立し、介護事業をやっていきたいという女性のパワーをたくさん集めてきました。総従業員は126名(半数は7年以上勤続)デイサービスやグループホーム、訪問看護ステーション、小規模多機能型居宅介護など11の事業を展開しています。
介護はサービスであると、生活を丸ごと診察し利用者に幸せになってもらうためにスキルを使うと明確な指針を持ち、利用者が生まれ育った町で切れ目ないケアを受けながら最期まで楽しく暮らすためにさまざまなケースと状況に寄り添い、それぞれの事業で連携しながら生活を支えています。具体的なこととしては、以前のサービスでは毎日入っていた訪問調理のサービスを週2回にし、モーニングケアや宿泊、夕飯の弁当をサービスに入れる。ベッドからポータブルトイレに自分で移動ができるように訓練をしたりと、その方と家族のニーズに合ったサービスができるよう週間予定表の工夫がされています。
詳しくは、認知症のある86歳の女性(要介護4)を83歳の夫が支えるというケースで、デイサービスに着ていく服選びに困っているとのことがわかり、モーニングケアを通所日に入れたり、夫が休息できるよう週1回ショートステイを利用する。弁当にも気を使うなどきめ細やかなサービスの内容でした。
また、久留米市でも看取りに力を入れており、末期癌に特化した療養型ナーシングデイ銀の庵や、訪問看護ステーションつばさでは2011年開所以来4年間で70件前後の在宅での看取りをしたとのことでした。 本当に安心して暮らしていけるためにはきめ細かい暮らしの支えと「看取り」が必要だと思いました。モク・コーポレーションでは明確な指針のもと、しなやかさと情熱を持って事業をすすめていっているのがよくわかりました。
気になる経営のことも聞いてみました。11の事業所は独立採算制で、小規模多機能型居宅介護が収益はトップだそうです。
小平市には現在5件の事業所があります。小規模多機能居宅介護施設は、利用者にとってはニーズが高いものですが制度上事業者として採算がとりづらく、小平でもなかなか増えないのが現状です。久留米市には今回視察したモク・コーポレーションをはじめ全国平均の4倍もの小規模多機能施設があり、事業として成り立たせつつ看取りを含めた事業を展開しています。
久留米市でのとりくみを参考に、どうすれば同様な環境が整えられるのか小平市でのしくみづくりを考えていきたいと思っています。できればもう1回久留米市に視察に行きたいです。