北海道視察③~夕張市~
25日夕張市を視察しました。視察内容は財政再建です。
夕張市は炭鉱閉山の後観光事業に舵を切りましたが失敗しました。炭鉱閉山は国のエネルギー施策によるものですが、国からの産炭地臨時交付金や地方交付税等の補助は大幅に縮小し、閉山後の社会基盤整備は市で行わなくてはなりませんでした。続いて観光施設への過大な投資、行政体制の効率化の遅れ、その後の市の不適正な会計処理等により赤字が拡大し、赤字解消額353億円を抱え2007年実質的に財政破綻し財政再建団体となりました。その後の法律の改正により2008年日本で唯一の財政再生団体として財政再生の道を歩んでいます。財政再生計画に計上されていない予算については、計画を変更し総務大臣の同意を得た後に予算計上になります。市の自治権が奪われている状態です。
夕張市の予算規模は約44億円/年で、2026年まで25.6億円/年を国に償還することになっています。
このため市の財政は引き続きひっ迫し、市民に大きな負担を強いています。市民税を上げたり公共施設の使用料をとることなどで歳入を確保し、市の職員数を減らしたり給料を減らしたりすることはもちろん小中学校を統廃合したり公衆トイレを閉鎖する、各種補助金をなくすなど様々な形で厳しく支出を抑えています。
しかし、財政再生を優先するあまり、市の職員や市民は負担のあまりの重さに夕張市の将来に失望し、人口流出や優秀な職員の退職という地域崩壊の懸念が出てきています。このため地域再生のバランスを取りながら財政再生を進めていかなくてはならないとの検証結果が出ました。現在では市民税を引き下げる見直しや、企業を誘致したり、石炭層から取れるメタンガスを産出する研究、私有林を薬木産地化する事業を進め少しずつ地域再生されてきています。
視察する中で感じたのは、財政再生において行政と市民がしっかり連携しているということです。よく話し合い、市民ができることは市民がというスタンスで市民自治が行われていました。夕張市の高齢者の多くは子どもや若者に手厚い施策を望んでいるそうです。市の財政状況は大変深刻ですが、協働して暮らしを作っていく姿に元気をもらった感じがしました。
財政破綻の要因でもある不適切な会計処理について、議会は何をしていたのかと思うと同時に、私たちも本当にしっかりチェックしなくては!と身が引き締まる思いでした。