会派視察報告②~久留米市の自殺予防対策
久留米市は人口約30万人、面積229.96㎢、2008年3つの行政区が合併して中核市に移行し、それに伴い保健所が設置されました。
若い世代の自殺は世界的に見ても多く、深刻な状況です。久留米市でも2007~2010調査で10代~69歳までの死因の1位が自殺です。特に全国(60,50,40台の順)と比較して30~50代の若い層が多く、自殺に至った原因、同期を分析し、保健所の設置と同時期に自殺予防の対策に乗り出しました。
対策として、かかりつけ医と精神科医の連携システムの構築、かかりつけ医が精神科医を紹介すると精神科を通じ保健所に毎月報告があります。受診した場合は精神科医からかかりつけ医に報告があります。紹介したが精神科を受診しなかったケースは「かかりつけ医精神科医うつ病ネットワーク」が把握しています。
うつ病対策としてかかりつけ医、産業医のためのうつ病アプローチ研修会を年9回約2時間医師会の主導で行っています。内容は「がん告知後のうつ」や「不眠とうつ」などきめ細やかです。またこの研修会では、かかりつけ医と精神科医の顔の見える関係ができそれぞれの得意分野などわかるため、ケースごとのきめ細やかな対応が出来ているとのことでした。
また、自殺の予防には家族、学校、地域のサポートが不可欠であるため、保健所からゲートキーパー養成の出前講座を行っており、理美容院や介護事業所、タクシー組合、飲食店組合に出向き話をされているそうです。了解を得て市民向けの相談窓口が掲載されたパンフレットを置かせてもらっているそうです。さらに、受信したがらない人をキャッチするために大規模商業施設で健康診断会を開催しています。
自殺は2010年バブルが崩壊した頃から急激に増え、現在に至っています。家庭の不和、DV、心や体の問題、生活苦、負債、職場や学校での問題などさまざまことからうつ病が発症することで自殺に至ることが多く、医療の連携だけでなく、就労支援、学校との連携、弁護士や警察、福祉関係部署など幅広い連携が必要となってきます。
久留米市はこの対策の結果、精神科医の受診者数が増え、近年自殺者数、自殺者率は減少しています。他県と比較しても大きく減少しているとのことでした。
小平市の2013年のデータによると自殺された方は28人。小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の5市からなる北多摩北部保健医療圏では圏域の自殺対策を重点プランとして挙げていて、ゲートキーパー養成や相談体制の整備、学校でのいのちの授業やいじめ対策などさまざまな取り組みがすすめられています。自殺の予防には、問題を抱えたときにきちんと声が出せるよう、またどんな小さな声も聞き逃さないような体制づくりが必要です。小平市での取り組みが自殺防止の機能をはたせるのかどうか調査、研究し、会派として効果的な施策を提案していきたいと思います。